ゲーミングUMPC GPD WIN3 (i5版)【買い物レビュー】
こんにちは、Lineaです
最近、散財気味なので今回も買い物レビューです
今回、購入したのはこの6月末に国内販売を開始したUMPC
GPD WIN3
になります
GPD WIN3は中国のGPD社が製造するUMPCです
UMPC(Ultla Mobile PC)というのは超小型PCを指す用語です。概ね10インチ以下のタブレットサイズのPCを指します
このGPD WIN3はその中でもゲーム用に特化しているのが特徴です
外見からして通常のPCと異なり、Nintendo Switchのような携帯ゲーム機のように本体にスティックとボタンが一体化したデザインとなっています
中身はれっきとしたPCとなっているのでSteamなどで購入したPCゲームを遊ぶことを目的としています
しかし、中身はPC故に価格は12万円(i7版は14万)と結構なお値段になっています(うーん散財…)
国内の正規販売業者はいくつかあるようなのですが、今回はAmazon経由でデントオンラインで購入しました
https://shop.dent-online.net/?pid=158052669
今回はこの最新ゲーミングUMPCを買って触ってみた感想をレビューしていきたいと思います
スペック
大まかなスペックは以下のとおりです
CPU | Intel Core i5-1135G7 / Intel Core i7-1165G7 |
GPU | Iris Xe Graphics 80EU(i5) / 96EU(i7) |
メモリ | LPDDR4x-4266 16GB |
ストレージ | 1TB NVMe SSD |
液晶 | 5.5インチ 1280*720 タッチパネル |
CPUがi5版とi7版がありますが自分が購入したものはi5版になります
本レビューもi5版でのレビューとなります
さて、スペックを見ると中身はノートPCという感じです
一般的なゲーミングノートPCがGeForceなどの外部GPU(グラフィックスチップ)を搭載しているのに対して、本機は外部GPUを搭載していません
そんな本機がゲームを遊ぶことのできる秘訣が「Iris Xe」,「LPDDR4x」,「1280*720」の3要素です
Iris XeとはIntelの最新CPU(TigerLake, 11世代)に搭載される高性能なCPU内蔵GPUの名称です
IntelのCPU内蔵GPUというと今まではWebや動画の表示は困らないが3Dゲームは厳しいというイメージでした
Iris Xeでは演算ユニットを増強し、設計も新規に行い3D性能を大幅に高めて3Dゲームも夢ではないレベルまで向上しました
性能のレベルとしてはGeforceやRadeonのノートPC向けローエンド級に並ぶとされています
そう聞くとすごく無さそうに聞こえますが過去のIntelグラフィックから比べると2段飛びぐらいの大躍進です
LPDDR4xは低消費電力のメモリ規格ですが、高速なメモリ転送速度も特徴です
通常、Geforceなどの外部GPUはVRAMと呼ばれる専用の高速メモリを持っているため、3Dゲームのテクスチャの読み込みなどが高速に行なえます
一方、Iris Xeのような内蔵GPUはグラフィックス用のメモリをCPU用のメモリと共用しているので速度が遅く、グラフィックスの処理に追いつかない場合があります
そのため、少しでも高速なメモリを使用したほうが効率よく処理できるのですが、LPDDR4xはCPU用のメモリとしては高速なため内蔵GPUの性能を引き出し切ることができます
1280*720という低めの解像度も快適にゲームを遊ぶためにはある意味重要です
一般に解像度が高いほうが絵は綺麗なのですが、処理負荷は2乗で増えることになります(ドット数=面積なので)
解像度をあえて落とすことで処理負荷を抑えてフレームレート(画面の表示間隔)を高めたほうが快適という判断をしているのでしょう
処理落ちしてカクカクしているゲームはいくら綺麗でもストレスが溜まりますからね
というわけでこのGPD WIN3はモバイルPCでゲームを遊ぶということにかなり特化した構成です
言い換えるとPCという枠の中で、できる限りゲーム機に近づけたとも言えるのではないでしょうか
開封・外観
さて、前置きが長くなってしまいましたがいよいよレビュー本番です
開封・同梱物
本体と一緒に購入特典として専用ドックと専用ポーチなどが付属していました(それ目当てでもある)
写真には映ってないですが専用反射防止フィルムと画面拭きもついてきましたよ
本体の箱は結構丁寧な作りで高級感がありました
箱の中は本体の他にType-C充電器(PD65W対応)とType-Cケーブル、説明書、ガラスフィルムが入っていました
ガラスフィルムは光沢なので特典の反射防止フィルムと選んでつけれる感じです
付属の充電器はPDに対応していてやるじゃんと思っていたのですが3日目にして出力が不安定になったのでお蔵入りになりました
こういうところは中華の付属品ということで注意が必要かもしれないです
本体
それでは肝心の本体を見ていきます
液晶画面は5.5インチ 1280*720のタッチパネル搭載です
5.5インチというスマホサイズに通常のWindowsを表示しているので文字やアイコンなどは結構小さいです
デフォルトの表示スケールは100%ですがこれを拡大すると今度は1280という低解像度によって表示できる情報量が少なくなってしまうので悩ましいところです
手に持ってみるとサイズ感はSwitchよりも小さく感じました。画面サイズが5.5インチなのでSwitch Liteが近いようですね
厚みは結構あるので握りやすく感じる面もありますが、若干かさばる感じもしました
重量は550gとPCとしては破格の軽さです。両手で持てば寝転がりながら1時間ほど遊んでも苦ではなかったです
角は若干角ばっているので角が当たるような持ち方をしていると手がしびれて来ることはありました
筐体の質感はパールっぽい塗装のおかげで安っぽくはないもののプラスチック感はあります
滑り止め加工はないですが、ちょっと手に張り付くような摩擦力はあるので滑って持ちにくいということはなかったです
下面にはUSB-Cが一つとスピーカーが配置されています。USB-Cは充電や映像出力などに対応しており、付属のドックと接続すると分配して同時に扱うことができるので便利です
手持ちの他のType-Cハブなども問題なく使えました。Thunderbolt4にも対応しているようですが我が家には対応するものがないのでそこは未知数ですw
上面は電源ボタン、音量ボタン、イヤホンジャック、USB-A(3.2 Gen2)が配置されています
USB端子がType-CとType-Aで一つずつしかないので外出先でも色々接続したい場合はUSBハブは必須ですね
音量ボタンは画面向かって左/右が+/-なので自分は逆を押してしまいがちなのが慣れないです
背面には大きく給気口とグリップ部に2つボタンが配置されています
2つのボタンはキーボードショートカットを自分で登録できるようになっています。デフォルトではCtrl+Alt+DelとAlt+TabのPCゲームであるあるなキーが登録されていました
ただ、ボタンのストロークが浅くて誤爆しやすいので気になる人は切ってしまうのもありかもしれないです
面白いギミックとして液晶画面が上にスライドすることで、タッチ式のキーボードが現れます
物理的なキーボードがあることでゲームのログイン時や攻略の検索で素早く入力できるのが便利です
ソフトウェアキーボードもOSにあるのですが画面を占有するので入力欄が隠れたりして不便なんですよね
入力時に振動したりキーが光ったりと結構 凝っています
しかし、タッチ式であることやサイズが小さいためにこのキーボードで長文の入力はさすがに厳しいです
また、後述するドックステーションに接続して画面出力した際にも本体キーボードで入力するのは現実的ではないです。
そういった点からゲーム以外にも使う気があればBluetoothキーボードは一つ用意しておいた方がいいと思います
コントローラーの操作感
コントローラーはstart, select, xboxボタンもしっかりあってXInput準拠です
スティックは適度な背が低めなものの反発力があるので細かい操作も十分できます
ボタンはストロークはほとんどないSwitchライクな感触ですがクリック感がしっかりあって違和感はありませんでした
RT,LTはアナログトリガーになっていてこちらはDualShockのトリガーに比較的近い感触でした
Switchと比べると厚みがある分ショルダー、トリガー部分は幅広くなっており押しやすく感じました
また、写真に映っていないですが左側面にはコントローラーをマウス操作に切り替えるスイッチがあります
マウス操作モードにすると左スティックでポインタ、ショルダーボタンが左右クリックになってマウス操作ができます
画面サイズが小さく、アイコンや表示が小さいのでタッチ操作しづらい場合に役立ちます
ただ、切り替えスイッチがあまりしっかりしたつくりではなさそうなので頻繁に切り替えたときに壊れないかは心配です
気になる点としてはスリープからの復帰時にコントローラーが認識されなくなる場合があることです。再起動すれば認識されるのですが、発生するたびに再起動しないといけないのでここは何とかしてほしいところですね
専用ドック
デントの購入特典として付属する専用ドックを見ていきます
ドックは本体底面のType-Cコネクタを差し込んで置くように設計されていて、クリアのバックプレートで支えるような構造になっています
このバックプレートは吸気口部分を塞がないように開口されているので本体を接続したまま使用することができます
接続方法からSwitchのドックを意識しているように感じますが、Type-Cコネクタが一般的なコネクタとなっており、本体に深く挿さなければならないので抜差しは結構固めです
Switchドックはコネクタが特殊で短めになってるので軽く置くだけで接続されるんですよね。真似できないのは特許でも取られているんでしょうか…
背面はドックで分配される出力端子が並んでいます
写真の左からType-C、HDMI、Type-A×3、LANポートとなっています
USBは3.2 Gen2に対応しているので高速転送に対応しています
Type-CはPDに対応しておりここにACアダプタを接続すれば充電が可能です
端子数も結構あり、HDMIで画面出力もできるのでドックとしては結構便利です
現在はテレビ横に設置してHDMIで接続することで、テレビをPC化するのに役立っています
HDMIはちゃんと4K出力できるので我が家の4Kテレビが4Kディスプレイに早変わりです
専用ケース
こちらもデント購入特典の専用ケースです
固いハードケースになっており高価な本機を持ち運ぶ上で安心できるものになっています
本体はジャストフィットで入るようになっています。フィットしすぎて取り出すときは指が入らずちょっと出しづらいです
本体を固定するバンドもあるので揺れたりひっくり返ってもスティックなどが押されないようになっているのはいいですね
蓋側にはポケットがついていますが、スティックとの干渉もあるので厚いものは入れないほうが良さそうです
ゲーム性能
それでは肝心のゲーム性能を見ていきたいと思います
TDPはデフォルトの20Wでテストしています
ネットの他のレビューでベンチマークテストはいっぱい試されているのでベンチマークは3D Markだけ試しました
Fire Strikeで4000超えは内蔵GPUとしてはすごいのではないでしょうか
平均以上が出ているのでLPDDR4xの効果もしっかり出ているようです
実ゲームプレイ
実際に何本かゲームをプレイしてみたのでフレームレートとプレイ感触をインプレッションします
ゲームのチョイスは自分の趣味と調べてもテストされていなさそうなタイトルを選んでみました(需要がないとも言える)
フレームレートはMSI Afterburnerで表示されたものを大体で書いてますので厳密ではないです
また、プレイしている様子を動画に撮ってみたのでそちらも参考にしてください
アサシンクリード オデッセイ
設定:プリセット低 レンダリングスケール70%
フレームレート:30FPS前後
最近の大作ゲームなのでかなり重いゲームですが、設定を最低限に落とすことで30FPS出るのでプレイできました
地形は貧相な見た目になりますが、キャラは意外と維持されるのでカットシーンなどストーリーを楽しむ分には困りませんでした
ただ、モデルの頂点がおかしくなる現象が結構な頻度で起きるので状況によってはプレイに支障がある場合もありました
ドライバの最適化はまだまだというのを感じてしまいますね
DIRT 4
設定:プリセット中
フレームレート:80~100FPS
2017年発売のラリーレーシングゲームです
中設定でプレイしてみましたが想像以上にFPSが高くびっくりしました。高設定でも遊べそうな勢いです
ゲームとしては結構シビアでアクセルやブレーキの微妙な操作を要求されますが、WIN3のアナログトリガーは十分応えてくれました
今回試した中では一番快適にプレイできたゲームです
Metro 2033 Redux
設定:プリセット高
フレームレート:50~60FPS
2014年発売の終末世界を舞台としたシングル用FPSです。元々2010年に発売されたもののリマスターになります
発売当時もグラフィックスが売りだっただけに今でも通用するグラフィックなのですが、高設定で60FPS近く出せるのはすごいですね
当時使っていたRadeon HD7850で60FPS出るかという感じだったので同じぐらいの性能ということ?
コントローラーフルサポートなのでプレイは快適でした
Project Wingman
設定:中~高
フレームレート:40~60FPS
2020年発売のフライトシューティングゲームです。すごいエスコンっぽいです
結構フレームレートの変動が大きいのですが、雲の描画面積が多いと重いみたいですね
雲の描画は背後の物体を透過させないといけないので重くなっているのだと思います
ただ、プレイをする上で十分なフレームレートは維持できており、見た目とのバランスを維持してプレイできました
Sherlock Holmes Devil’s Daughter
設定:低
フレームレート:30~60FPS
2016年発売のアドベンチャーゲームです。ちょっとSherlockっぽいホームズな推理ゲームです
こちらは起動するとGPUが動作対象外と警告されてしまいます。無視して動作はしますがIntelはサポートされていないようです
こちらもフレームレートの変動が大きいのですが、意外とカットシーンの方が重い結果でした
また、プチフリーズ的に1秒ほど急激に重くかくつく現象が頻発しました
アドベンチャーなのでプレイできないわけではないですが、気にはなるところです
こういったIntelがサポートされてないゲームがあったりするところは弱点ですね
最近のゲームでも設定を落とすことで30FPS以上でプレイできるだけのパフォーマンスがあります
4,5年前のゲームなら60FPSも狙えるので、昔買って積んだままのゲームを崩すのには最適ですね
バッテリーでゲームをした場合の持ちですがゲームの負荷で結構変わる印象です
アサシンクリードは常に重いのか1時間ほどしか持ちませんでした。一方負荷の軽いDIRT4は1時間半以上持ちました
2Dゲームならもっと持ちそうなので期待しています
一つ問題としては、やはりIntelグラフィックの安定性、サポートでしょうか
歴史的にIntelはゲームに注力していなかったためにゲーム側の最適化や動作確認がしっかり対応されていないこともあり、上記の通りアサクリやSherlock Holmesなど不具合が出るゲームもありました
この2つは我慢できるレベルですが、起動できなかったり、プレイできないゲームというのもあります(自分はGジェネクロスレイズが5分ほどで落ちて諦めました)
Intelもドライバのアップデートでゲーム対応を行うようになってきましたが、過去の古いゲームまで対応はしてくれないのである程度は遊べないゲームがあることは理解する必要があります
総評
最初にも書きましたがこのGPD WIN3はモバイルPCでゲームをプレイすることにかなり特化しています
その理由としては、コントローラー一体のデザインもそうなのですが、それ以上に画面サイズと解像度が物語っていると思います
5.5インチと1280*720のディスプレイは現代のWindowsPCとしては人が操作できる最低限のスペックだと感じました
Webブラウジングやコーディングなどの作業をしてみると正直苦痛なレベルです
一方ゲームをプレイしてみると、このスペックでパフォーマンスを確保するには最適な解像度ですし、サイズの小ささが低解像度の粗さをうまく隠してくれます
また、画面サイズの小ささが小型軽量にしてくれるので携帯性も抜群です
普通のモバイルPCとしては欠点な部分がゲーム機としては欠点ではなくなるのです
実際Switch liteは同じ解像度とサイズなわけですし、ゲーム機としては上手く成り立っています
そして、買ってみて思った以上に衝撃だったのはどこでも寝ながらPCゲームができる体験でした
これまでPCゲームといえばデスクトップか大きいゲーミングノートでしか遊べないというものでした
自分も自作のデスクトップPCでゲームをしてきましたが、椅子に座って「さぁやるぞ」という意志が必要でした
最近は仕事で疲れているとなかなかその意思を持てなかったのですが、このGPD WIN3では場所の制約もなく好きな時に気軽にプレイできるので心のハードルがだいぶ下がりました
まぁ寝ながらゲームするだけならSwitchでもいいのですが、PCゲームで育ってSteamに積みゲーが山ほどある身としてはこれは画期的なことでした
そういった訳でゴロゴロどこでもPCゲームがやりたいというニッチな層には激刺さりなPCでした
また、中身のスペックは普通に高級機なノートPCクラスなので本体だけでみるとアレですがドックやワイヤレスマウス/キーボードなり周辺機器をそろえてあげることでPCとしての役割も果たせないわけではないです
あとは12万という携帯ゲーム機としては高価な価格をどう捉えるかですね
CPUやメモリ、ストレージで同等のノートPCとは同価格帯なので単純にPCとしてみれば割高ではないと思います
キーボードはないですがPC的に扱いやすそうなライバル機種としてはONE XPLAYERになりそうですね
あちらはディスプレイが8.4インチに2560*1600なので作業性はだいぶ高そうです
自分はGPD WIN3を購入してからの1週間でPCゲームをプレイする時間がだいぶ増えました
週末ガッツリという遊び方だけでなく、平日にゴロゴロ1時間という遊び方が増えたのはPCゲーマーとして充実感があります
これで溜まりに溜まった積みゲーを崩していきたいと思います
それではまた